一般社団法人とは? 各社団法人との違いや設立の流れをプロが解説!

そもそも一般社団法人とはどんな組織?

「非営利」は利益を出してはいけないという意味ではない

一般社団法人の「非営利」という言葉は、利益を出してはいけないという意味ではありません。これは、事業活動によって得た利益を、社員や役員に分配してはいけないという意味です。株式会社が利益を株主に配当する「営利」を目的としているのに対し、一般社団法人は「非営利」を目的としています。しかし、非営利だからといって利益を出さない、あるいは事業活動を行わないわけではありません。むしろ、持続的な活動を行うためには、事業収入を得て組織を運営していく必要があります。例えば、会員からの会費や、セミナー開催による収益、商品販売による収益などが事業収入に該当します。これらの収入は、法人の活動を継続し、さらに発展させていくために重要な財源となるため、積極的に事業活動を行い、収益を上げていくことが求められます。得た利益は、あくまで法人の目的である公益活動や共益活動に再投資され、法人の活動維持・発展のために活用されます。

一般社団法人の主な収入源を紹介

一般社団法人の主な収入源は、株式会社と同様に事業収入が中心です。その他にも、社員や会員からの会費や入会金、第三者からの寄付金収入も重要な収入源となります。これらの収入源を多角的に確保し、安定した運営を目指すことが、法人活動の継続と発展に繋がります。

一般社団法人は、事業で得た利益を社員や役員に分配することはできませんが、法人活動を継続するために収益事業を行うことは可能です。 この収益事業から得た利益は、給料や役員報酬として支払うこともできます。 ただし、一般社団法人には「普通型」と「非営利型」の2種類があり、税制上の扱いが大きく異なります。普通型一般社団法人は、原則として全ての所得が課税対象となりますが、非営利型一般社社団法人の場合は、収益事業から生じた所得のみが課税対象となり、寄付金収入や会費収入は課税対象外となります。

そのため、現在、任意団体として活動しており、主な収入が会費収入や寄付金収入である場合は、非営利型一般社団法人の要件を満たした上で設立することを推奨します。 収益事業の範囲は法人税法施行令によって具体的に定められており、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業など34業種が該当します。 これらの事業から得た収入は、法人の持続的な活動を支える重要な柱となります。

会員から集める会費収入

一般社団法人の会費収入は、会員からの入会金や年会費などが主な財源となります。これは、一般社団法人の活動理念に賛同する人々が集まり、共通の目的を達成するために協力し合うという、法人本来の姿を体現する収入源と言えます。特に、共益的な活動を目的とする一般社団法人にとって、会員からの会費は重要な運営資金となります。例えば、同業者団体や学術団体、地域住民を対象としたコミュニティ活動を行う法人などでは、会員が支払う会費が活動を支える基盤となります。

会費収入は、一般社団法人の運営を安定させる上で不可欠な要素であり、活動の継続性を担保する役割も果たします。会費を支払うことで、会員は法人の活動に参加する権利や、法人から提供されるサービスを受ける権利を得ることが一般的です。また、会費は法人の理事会の承認を得て、適切な使途に充てられます。透明性の高い会計処理を行うことで、会員からの信頼を得て、安定的な会費収入に繋げることが重要です。非営利型一般社団法人の場合は、会費収入は原則として非課税となるため、税制面でも有利な収入源と言えます。

セミナーや商品販売などの事業収益

一般社団法人の事業収益は、セミナー開催や、商品・サービスの販売など、多岐にわたります。これらは、法人の活動を継続し、さらに発展させていくための重要な財源です。ただし、一般社団法人には「普通型」と「非営利型」があり、税制上の扱いが大きく異なります。普通型一般社団法人は全ての所得が課税対象となる一方、非営利型一般社団法人は収益事業から生じた所得のみが課税対象となります。この収益事業は法人税法施行令によって34業種が定められており、物品販売業や不動産販売業、請負業、出版業、技芸教授業などが該当します。具体的には、パソコン教室や英会話教室などの技芸教授事業は収益事業に該当しない場合もありますが、内容によっては課税対象となるため注意が必要です。

公益社団法人も同様に、公益目的事業から生じた所得は課税対象外ですが、収益事業から生じた所得には法人税が課税されます。 収益事業の範囲は、公益社団法人であっても一般社団法人と同様に法人税法で定められた34業種が基準となります。

このように、一般社団法人や公益社団法人が事業収益を得ることは可能であり、法人の目的を達成し、活動を継続していく上で不可欠です。しかし、税務上の区分によって課税対象となる範囲が異なるため、設立時や事業運営においては、専門家への相談が重要となります。

活動を支援してもらう寄付金

一般社団法人における寄付金は、活動を支える重要な財源の一つです。一般社団法人は「非営利」を目的としており、得た利益を社員や役員に分配することはできませんが、活動の継続のために事業収益や寄付金を得ることは認められています。寄付金は、法人の活動内容に賛同する個人や法人からの支援によって成り立っています。

寄付金収入に対する課税については、一般社団法人の種類によって扱いが異なります。非営利型一般社団法人の場合は、収益事業から生じた所得のみが課税対象となり、寄付金収入は原則として非課税です。しかし、非営利型に該当しない普通型一般社団法人の場合は、全ての所得が課税対象となるため、寄付金収入も課税の対象となります。したがって、寄付金による活動支援を主な収入源とする場合は、税制上のメリットを享受できる非営利型一般社団法人の要件を満たすことが重要です。

寄付をする側にとっても、税制上の優遇措置の有無は重要な検討事項です。個人が一般社団法人に寄付をした場合、非営利型であっても原則として所得税の寄付金控除は適用されません。一方、法人が一般社団法人に寄付をした場合は、一般寄付金として損金算入限度額までは損金に算入できます。ただし、一般財団法人として設立時に300万円以上の財産を拠出する義務がある場合、その拠出は設立者の財産であり、一般の寄付金とは性質が異なります。

寄付を募る際は、寄付者に対して税制上のメリットを明確に伝えることが、より多くの支援を得るために不可欠です。例えば、一般社団法人が公益社団法人に認定された場合、寄付者(個人・法人問わず)はより手厚い税制優遇措置を受けられるようになります。

他の法人形態と一般社団法人は何が違う?

公益社団法人との違いは「公益性の認定」

一般社団法人と公益社団法人の最も大きな違いは、「公益性の認定」を受けているか否かです。一般社団法人は、登記のみで比較的容易に設立できる法人ですが、公益社団法人は、一般社団法人が設立された後に、その活動が公益性を有すると行政庁から認定を受けることで移行できます。具体的には、内閣総理大臣または都道府県知事に対し、必要書類を提出して公益認定申請の手続きを行います。

公益認定を受けるためには、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に定められた18項目の厳格な基準をすべて満たす必要があります。主な基準としては、公益目的事業を行うことを主たる目的とし、その事業に必要な経理的基礎と技術的能力を有すること、社員や役員などに特別の利益を与えないこと、そして公益目的事業の比率が50%以上であることなどが挙げられます。

公益認定を受けると、法人名称に「公益」を冠することができ、社会的信用が向上します。また、税制上の優遇措置が適用され、寄付金が集めやすくなるという大きなメリットがあります。具体的には、公益目的事業から生じた所得は非課税となり、寄付をした個人や法人も税制上の優遇措置を受けられます。しかし、その一方で、行政庁による監督を継続的に受け、定期的な報告義務や立入検査の対象となるため、事務作業が増えるというデメリットもあります。

したがって、公益社団法人は、高い公益性を持ち、社会貢献を主な目的としながら、税制優遇を受けつつ活動を拡大したい場合に適しています。しかし、その分、厳しい運営基準や監督が伴うため、設立時にはこれらのメリットとデメリットを十分に考慮し、慎重に検討することが重要です。

一般財団法人との違いは「財産の集まり」か「人の集まり」か

一般社団法人と一般財団法人の最も大きな違いは、設立の基礎が「人の集まり」にあるのか、それとも「財産の集まり」にあるのかという点です。一般社団法人は、2名以上の社員の合意によって設立され、その目的は共通の活動を行うことにあります。社員総会が最高意思決定機関となり、社員の意思が法人の運営に直接反映されます。一方、一般財団法人は、300万円以上の財産を拠出することで設立され、その財産を運用して事業を行うことを目的としています。理事会が最高意思決定機関となり、拠出された財産の適切な管理・運用が重視されます。

この違いは、法人の意思決定プロセスやガバナンスの構造にも影響します。一般社団法人では、社員が主体となって事業内容を決定し、収益事業を行う場合も、その事業収入や寄付金収入は法人の目的に沿って活用されます。例えば、特定の分野における専門家の集団が、情報提供や研修事業を通じて事業収入を得る場合、その利益は社員に分配されることなく、さらなる活動の拡大や公益性の向上に充てられます。一方、一般財団法人は、一度拠出された財産が法人に帰属し、設立者の意思は定款に定められた範囲で尊重されつつも、その後の運営は理事会に委ねられます。こちらも収益事業を行うことは可能ですが、事業収入や寄付金収入は、あくまで「財産の運用」という視点から、法人の目的を達成するために用いられます。

このように、一般社団法人が「人」を中心とした活動を展開するのに対し、一般財団法人は「財産」を基盤として事業を運営するという点で明確に区別されます。どちらの法人形態を選択するかは、設立者がどのような目的を達成したいのか、どのような活動を主に行いたいのかによって判断が分かれる重要なポイントです。

NPO法人との違いは「設立要件と事業範囲」

NPO法人と一般社団法人には、設立要件や事業範囲において明確な違いがあります。NPO法人は、特定非営利活動促進法に基づき、ボランティア活動などの特定非営利活動を行うことを目的としています。活動分野が法律で20種類に限定されているため、その範囲外の活動はできません。一方、一般社団法人は事業内容に制限がなく、共益的な活動や公益的な活動など、幅広い分野で事業を展開することが可能です。また、NPO法人の設立には所轄庁による認証が必要で、設立までに数ヶ月を要しますが、一般社団法人は公証役場で定款認証を受け、法務局で登記を行うだけで設立でき、比較的短期間で設立できるのが特徴です。このように、設立の容易さや事業の自由度において、両者には大きな違いがあるのです。

株式会社との違いは「営利目的」か「非営利目的」か

株式会社と一般社団法人の最も大きな違いは、営利を目的としているか、非営利を目的としているかという点です。株式会社は、事業活動で得た利益を株主へ配当する「営利」を目的とするのに対し、一般社団法人は、事業で得た利益を社員や役員に分配しない「非営利」を目的としています。この非営利とは、利益を出してはいけないという意味ではなく、得た利益を法人の目的である活動に再投資し、法人の継続的な運営や発展のために活用するという意味合いが強いです。したがって、株式会社は利益の追求を通じて経済活動を活性化させることを主眼に置いているのに対し、一般社団法人は社会貢献や共益活動を通じて、特定の目的を達成することを目指していると言えます。

一般社団法人を設立するための具体的な手順

ステップ1:設立に必要な社員と機関を決定する

一般社団法人の設立には、まず最低限2名以上の社員が必要とされます。この社員は、個人のみならず法人もなることが可能です。また、法人の運営を担う機関として、必ず社員総会と理事が置かれることになります。さらに、定款で定めることにより、理事会や監事を設置することも可能です。これらの機関設計は、法人の規模や活動内容によって適切な形を選択することが重要となります。例えば、大規模な組織運営を予定しているのであれば、理事会を設置してより専門的な意思決定体制を構築したり、監事を置いて業務執行の監査機能を強化したりすることが考えられます。設立時には、これらの社員と機関の役割を明確にし、その後の円滑な法人運営に繋げることが肝要です。

ステップ2:法人の基本ルールとなる定款を作成し認証を受ける

定款は、法人の名称や事業目的、所在地、社員に関する事項など、運営の基本ルールを定めた重要な書類です。会社でいう会社定款に該当し、法律に則って作成する必要があります。この定款を作成した後、公証役場で認証を受けることが義務付けられています。認証を受ける際には、実質的支配者となるべき者の申告書や、発起人全員の印鑑証明書など、様々な書類が必要となります。これらの手続きを経て定款が認証されることで、一般社団法人設立への次のステップに進むことができるのです。

ステップ3:法務局で設立登記の申請を行う

公証役場で定款認証が完了したら、いよいよ法務局で設立登記の申請を行います。この登記申請が受理されて初めて、一般社団法人が正式に成立したことになります。登記申請には、定款の写しや社員総会議事録、役員の就任承諾書、印鑑証明書など、様々な書類が必要になります。これらの書類は不備がないように慎重に準備していきます。登記完了後、登記事項証明書が発行されると、法人の存在が公的に認められ、銀行口座の開設や税務署への届出など、その後の法的な活動が可能となります。

まとめ

一般社団法人の主な収入源は、会員からの会費収入や入会金、セミナー開催や商品販売などの事業収益、そして活動を支援する寄付金収入など、多岐にわたります。特に、非営利型の一般社団法人の場合、収益事業から生じた所得のみが課税対象となり、会費収入や寄付金収入は原則として非課税となります。これは、公益財団法人や公益社団法人と同様に、公益性の高い活動を支援するための税制優遇措置として設けられています。一方、普通型の一般社団法人は、原則として全ての所得が課税対象となります。この税制上の違いは、法人の運営コストに大きく影響するため、設立時にどちらの法人形態を選択するかが非常に重要です。

一般財団法人は、300万円以上の財産を拠出することで設立され、その財産を運用して事業を行うことを目的としています。そのため、主な収入源は拠出された財産の運用益や事業収益となりますが、一般社団法人と同様に寄付金も重要な収入源となります。公益財団法人も、公益社団法人と同様に公益性の認定を受けているため、税制優遇措置が適用され、寄付金が集めやすいというメリットがあります。このように、各社団法人の収入源や税制上の扱いは、法人の種類や認定状況によって大きく異なるため、自身の活動目的や事業計画に合わせて、最適な法人形態を選択することが、持続的な運営には不可欠です。

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