一般社団法人の資金はどこから?設立時の集め方や調達方法を解説

一般社団法人の設立時には、最低でも定款の認証にかかる公証人手数料や、法務局への登記申請に必要な登録免許税などの法定費用が発生します。これらの初期費用は、合計で約11万円から13万円程度かかります。また、これらの法定費用に加えて、事業を開始し、運営していくための運転資金も必要です。

本記事では、一般社団法人の資金と設立時の集め方や調達方法について解説していきます。

一般社団法人の主な収入源となる3つの資金

一般社団法人の安定的な運営には、活動に必要な資金をどのように確保するかが重要です。主な収入源として、社員から集める会費、法人自体が行う事業活動から得られる事業収益、そして外部から任意で募る寄付金の3つが挙げられます。これらの資金調達方法を組み合わせることで、法人の活動を継続的に支える基盤を構築することができます。

社員から集める「会費」

一般社団法人の会費は、社員が法人の活動を支える目的で定期的に支払うものです。この会費は法人の重要な資金調達の一つであり、法人の運営費用や事業活動費に充当されます。会費の種類は、正会員が支払う「正会員会費」と、賛助会員が支払う「賛助会費」などがあります。会費の金額は、法人の定款や社員総会の決議によって定められますが、社員間で不公平が生じないよう、明確な基準を設けることが重要です。また、集めた会費の使途については、会員規約等で社員への情報開示を徹底し、透明性の確保に努める必要があります。

法人が主体となって行う「事業収益」

一般社団法人が自らの活動を通じて得た対価であり、最も直接的な資金調達の方法です。例えば、セミナーの開催や書籍の販売、コンサルティングサービスの提供などが挙げられます。これらの事業活動は、法人の理念に基づきながら、収益を上げることが期待されます。これにより、法人は安定した運営が可能となり、活動の幅を広げることができます。事業収益は、法人の自立性を高め、外部からの資金に依存しすぎない強固な経営基盤を築く上で非常に重要です。

外部から任意で募る「寄付金」

外部からの寄付金も、一般社団法人の大切な収入源の一つです。寄付金は、個人や企業が法人の活動内容に賛同し、支援する目的で任意に提供される金銭を指します。この寄付金は、法人の事業活動の拡大や、特定のプロジェクトの遂行に大きく貢献します。また、公益性の高い事業を行う一般社団法人であれば、非営利型一般社団法人の要件を満たすことで寄付金を集めることで、税制上の優遇措置を受けられる可能性があります。そのため、寄付者への適切な情報開示や、寄付金がどのように活用されたかの報告は、信頼関係を築く上で非常に重要です。

一般社団法人の設立時に必要となる初期費用

一般社団法人を設立する際には、いくつかの初期費用が発生します。特に、定款の認証にかかる公証人手数料や、法務局への登記申請に必要な登録免許税といった法定費用は避けられません。これらの費用は、設立手続きを進める上で必ず支払う必要があります。具体的な金額は後述しますが、事前にこれらの初期費用を把握し、資金計画を立てることが重要です。設立時の資金調達は、法人のスムーズな立ち上げに直結するため、これらの費用を確実に準備することが求められます。
以下詳しく見ていきましょう。

定款の認証にかかる公証人手数料

設立時に必ず発生する定款の認証にかかる費用として、公証人手数料が挙げられます。これは、一般社団法人の定款が法律に則って作成されていることを公的に証明するために支払う手数料です。印紙税が課税される定款は、会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社)の設立のときに作成する定款の原本に限られています(印紙税法別表第一 課税物件表第6号文書、印紙税法基本通達別表第一 第6号文書の1)。
したがって、一般社団法人の定款については、印紙税の課税対象となりません。また、定款認証手数料としては、謄本の原本の費用を含むと約52,000円となっています。

法務局への登記申請に必要な登録免許税

法務局への登記申請には、登録免許税という税金がかかります。基本的には、株式会社のような資本金のある法人の設立時に課せられる登録免許税とは計算方法が異なります。一般社団法人の場合、設立登記の際の登録免許税は6万円です。この費用は法人の設立手続きにおいて、必ず発生するものですので、資金計画に含めて準備を進めることが大切です。

設立資金の調達に活用できる「基金制度」の仕組み

基金制度は、一般社団法人の設立や活動資金の調達を目的とした独自の仕組みです。これは、法人が事業活動を行うための資金を外部から集める際に活用され、返還義務のある資金として扱われます。これにより、法人は事業基盤を強化し、安定的な運営を目指すことができます。基金は、法人の理念に賛同する個人や団体から拠出されることが一般的で、法人の信用力を高める役割も担っています。

基金制度を利用して活動資金を集める方法

基金制度は、一般社団法人が活動資金を集めるための方法の一つです。この制度は、社員や第三者から金銭や財産を拠出してもらい、それを法人の活動費用に充てる仕組みです。拠出された基金は、法人の資産として計上されますが、株式会社の資本金とは異なり、社員に配当されることはありません。活動資金を集めるこの資金調達方法は、法人の事業活動を円滑に進める上で有効な手段となります。また、寄付金とは異なり、将来的に拠出者への返還義務が生じる可能性があるため、制度の利用には留意が必要です。

基金制度を導入する際のメリット

基金制度を導入する最大のメリットは、返還義務のある資金として調達できる点です。これにより、借入金と異なり利息の支払いが不要となり、法人の資金繰りを圧迫するリスクを軽減できます。また、基金は法人の自己資本を充実させる効果があり、対外的な信用力の向上にもつながります。さらに、拠出者は法人の活動に貢献する意識が高まり、長期的な支援者となる可能性もあります。これらのメリットは、一般社団法人が安定した事業運営を行う上で、非常に有効な手段となります。

基金の返還義務に関する注意点

基金は、一般社団法人の事業活動を支える重要な資金調達の手段ですが、その返還には注意が必要です。拠出者からの基金は、将来的に返還が求められる性質のものです。そのため、法人は返還義務を履行できるよう、適切な財務管理を行う必要があります。返還方法や時期については、基金を拠出する際に取り決めた契約内容に基づきますので、事前に明確な合意形成をしておくことが重要です。また、基金を返還する際には、法人の財産状況を考慮し、無理のない範囲で計画的に実行していくことが求められます。

一般社団法人の設立後に利用できる資金調達の選択肢

一般社団法人の設立後も、事業の拡大や運営継続のために資金調達を検討されることはあると思います。主な選択肢として、日本政策金融公庫をはじめとする金融機関からの融資、国や地方自治体が提供する補助金や助成金、そしてインターネットを通じて広く支援を募るクラウドファンディングが挙げられます。これらの方法は、それぞれ異なる特徴や要件を持つため、法人の事業内容や資金使途に応じて最適な資金調達方法を選択することが重要です。適切な資金調達を行うことで、法人の安定的な運営と持続的な成長を支援します。それぞれ見ていきましょう。

日本政策金融公庫など金融機関からの融資

日本政策金融公庫をはじめとする金融機関からの融資は、まとまった資金を調達できる有効な手段となります。融資を受けるためには、事業計画の策定や財務状況の提示が必要ですが、低金利で長期的な借り入れが可能な場合も多く、法人の安定的な成長を後押しします。

国や地方自治体から受けられる補助金・助成金

国や地方自治体から提供される補助金や助成金は、一般社団法人の資金調達において非常に魅力的な選択肢です。これらの制度は、特定の目的を持った事業活動や、地域社会に貢献する活動に対して資金的な支援を行うものです。返済義務がないことが最大の特徴であり、法人の財務負担を軽減し、より意欲的な事業展開を可能にします。ただし、補助金や助成金は種類が多く、それぞれに申請期間や要件が細かく定められているため、自法人の活動内容に合致するものを見つけることが重要です。情報は各省庁や地方自治体のウェブサイトで随時公開されていますので、定期的に確認し、適切な資金調達の機会を逃さないようにしましょう。また、一般社団法人は対象外の補助金は少なくないので注意が必要です。

インターネットを通じて支援を募るクラウドファンディング

インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金を集めるクラウドファンディングは、一般社団法人の新しい資金調達手段として注目されています。この方法では、インターネット上でプロジェクトを公開し、共感を覚えた人々から支援を募ります。支援者へのリターンは、物品やサービス、活動報告など多岐にわたり、法人の活動内容を広く知ってもらう機会にもなります。特に、共感を呼びやすい社会貢献性の高い事業や、ユニークな活動を行う法人にとって有効な資金調達の選択肢と言えるでしょう。

まとめ

一般社団法人の設立には、法定費用や運転資金の準備が必須です。設立時の資金調達は、会費、事業収益、寄付金が主な柱となります。加えて、返還義務のある資金として基金制度を活用することも可能です。この基金は利息なしで集めることができ、法人の信用力向上にも繋がります。設立後に資金が不足した場合でも、日本政策金融公庫などの金融機関からの融資や、国や地方自治体の補助金・助成金、あるいはクラウドファンディングといった選択肢があります。適切な資金計画を立てて、スムーズな運営を目指しましょう。

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