社団の役員人事において、「重任」と「再任」という言葉が使われますが、その正確な違いを説明できるでしょうか。この二つの言葉は似ているようで法的な意味合いが異なります。また、「留任」との違いも理解しておく必要があります。
役員の任期が満了した際には、たとえ同じ人物が役員を続ける場合であっても、法務局への登記手続きが法律で義務付けられています。
本記事では、重任と再任、そして留任とは何か、それぞれの意味の違いから、役員の重任登記が必要な理由、具体的な手続き方法までを解説します。
まずは言葉の意味を整理!重任・再任・留任の違いを解説
役員人事を語る上で頻繁に登場する「重任」「再任」「留任」という用語は、それぞれ異なる状況を指します。特に、重任と再任は混同されやすいですが、法的な手続きや登記において区別して扱われるため、その違いを正確に理解しておくことが重要です。
留任についても、役員が欠けた場合に社団の運営を停滞させないための重要な概念となります。これらの言葉の意味を正しく把握し、適切な場面で使い分けることが、円滑な社団運営の第一歩です。
「重任」とは任期満了後も役員を継続すること
重任とは、役員が任期の満了を迎えた後、退任することなく、引き続いて次の任期でも同じ役職に就くことを指します。具体的には、任期が満了する定時社員総会で再び同じ人物が役員として選任され、その人が就任を承諾した場合がこれに該当します。
任期の満了と再度の選任の間に時間的な空白期間がない点が特徴です。実質的に役員の顔ぶれが変わらない場合でも、社員総会での選任決議と、その旨を公示するための変更登記が必要不可欠となります。
「再任」とは一度退任した役員が再び就任すること
再任とは、役員が任期満了や辞任などによって一度その職を退いた後、一定の期間を経てから、再び同じ法人の役員として就任することを意味します。重任との決定的な違いは、役員としての地位に一度「退任」や「辞任」という中断期間が存在する点です。
例えば、取締役を退任した人物が、数年後に再び社員総会で選任され、取締役に就任する場合などがこれにあたります。
再任の場合も、新たな役員の就任として扱われるため、社員総会での選任決議、本人の就任承諾、そして法務局への就任登記という一連の手続きが改めて必要になります。
なお、登記上の記載事項として「再任」という言葉を記載することはありません。退任と就任が同一日であれば登記上は「重任」と記載され、1日でもタイムラグがあれば退任登記と就任登記がそれぞれ行われます。
「留任」は後任者が決まるまで一時的に役員の職務を続けること
留任とは、役員が任期満了または辞任によって退任した後、法律または定款で定められた役員の員数を満たさなくなる場合に、後任者が就任するまでの間、一時的に役員としての権利義務を引き続き有する状態を指します。
これは、役員の欠員によって社団の業務執行に支障が出ることを防ぐための規定で、この状態にある役員を「権利義務承継役員」と呼びます。
権利義務承継役員は本人の意思とは関係なく法律上当然に発生し、社員総会の決議は不要です。後任の役員が選任されて初めて、権利義務承継役員の退任登記と後任者の就任登記を同時に申請することができます。
なぜ同じ役員が継続する場合でも「重任」の手続きが必要なのか?
役員のメンバーが全く変わらず、同じ人物が継続して役職を務める場合でも、任期満了時には必ず「重任」の手続きと登記申請が求められます。
たとえ形式的な手続きに感じられたとしても、このプロセスを省略することはできず、怠ると法的なリスクを負うことになります。
社団の役員には法律で任期が定められているため
一般社団法人の役員には法律で明確な任期が定められています。原則として、理事の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで、監事の任期は選任後4年以内と規定されています。
これは、経営を委託する役員の適性を定期的に判断し、経営陣をコントロールする機会を社員総会が持つことを保障するための制度です。
任期が満了するたびに役員を選び直す必要があるから
役員の任期が満了すると、その役員は法的に一度その地位を失います。そのため、同じ人物が引き続き役員を務める場合であっても、改めて社員総会を開催し、その人物を役員として選び直す「選任決議」を経なければなりません。
この選任決議を経て役員が継続して職務に就くことが「重任」であり、その事実を対外的に公示するため、法務局への変更登記申請が義務付けられているのです。
まとめ
役員に関する「重任」「再任」「留任」は、それぞれ法的な意味合いが異なります。特に、役員の任期満了時に同じ人物が継続する場合の「重任」では、社員総会の決議と2週間以内の変更登記が法律で義務付けられています。
この登記を怠ると、過料が科されたり、最悪の場合は社団が解散させられたりするリスクがあります。社団の信頼性を維持するためにも、役員の任期管理を徹底し、必要な登記手続きを確実に行うことが重要です。






