意外と知られていない一般社団法人の「社員」の重要性

この記事は一般社団法人の設立をお考えの方、一般社団法人を運営している方向けの記事です。

私自身も一般社団法人行政書士の学校を運営する他、これまでに200を超える一般社団法人の設立に関わってきた中で、その重要性が伝わっていないと感じたのが「社員」という存在についてです。

一般社団法人の「社員」はなぜ重要なのか

まず、一般社団法人の「社員」とは、一般的に使われる「社員」の意味とは異なります。

一般社団法人の「社員」とは、社員総会において議案を提出したり、その議決に参加し、議決権を行使する者を言います。株式会社で言うところの「株主」に近い立場と言えます。

株主総会が株式会社の重要事項を決める機関であるように、社員総会は、一般社団法人の重要事項を決定する最重要機関となります。その機関において議決権を持つのが「社員」ですから、非常に重要な存在なのです。

具体的には、一般社団法人の定款を変更したり、理事の選任解任権を持っていたり、解散すら求めたりできる重要な機関となります。

「社員」の要件

一般社団法人の設立においては、社員は2名以上必要とされています。

社員の資格については、法律で規定されているわけではなく、それぞれの一般社団法人で定められる事項であり、社員の資格や入社の手続は、定款の定めるところによります。

この「社員の資格の得喪に関する規定」は定款の絶対的記載事項、つまり必ず記載する事項その記載がなければ、定款全体が無効になります。

社員の資格要件としては、例えば下記のようなものが挙げられます。

  • 専門職団体:○○に関する国家資格を有する者であること
  • 同業者団体:○○業を営む者であること、○○業の営業許可を有する法人又は個人であること
  • 学術団体:○○学の研究者であること
  • 同窓会:○○大学の卒業生であること

社員総会の決議について

一般法人法又は定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席社員の議決権の過半数で決します。

この一般法人法による別段の定めとしては、特別決議を要する場合と全員が書面又は電磁的記録により同意したときの決議省略の場合があります。

特別決議とは、総社員の半数以上(頭数要件)であって、総社員の議決権の3分の2(定款でこれを上回る割合を定めることは可能)以上の賛成(決議要件)が必要であるとされるものであり、下記について必要とされています。

  • 社員の除名
  • 監事の解任
  • 責任等の責任の一部免除
  • 定款変更
  • 事業の全部の譲渡
  • 解散及び継続
  • 合併契約の承認

このように重要な事項を決めることができる機関が「社員」なのです。

議決権をすべて持つための方法

一般社団法人の設立は2名以上の社員が必要ですが、例えば2名で設立したあと、両者が対立してしまった場合には、こうした議事が何も決まらないという状況にもなりえます。

では、100%の議決権を持つことはできるのでしょうか?

一般社団法人の社員には、法人もなることができます。

例えば私が代表の一般社団法人を作る場合、私以外に、私が100%株主である株式会社を経営しているとその株式会社とで社員になれば、100%の議決権を持つことができるようになります。

この場合には、株式会社は目的の範囲内でのみ法人格を持ちますので、株式会社の事業目的と、設立しようとする一般社団法人の目的とがある程度一致する必要があります。

社員を誰にするか、理事や監事をどうするかを機関設計と言いますが、安定した一般社団法人の運営のためには、それぞれの目的や役割を踏まえた上で、適切な人員配置をしていくことがとても大事なのです。

今はインターネット上に雛形もありますし、必要な書類を作れば一般社団法人を作ること自体はできますが、定款変更しなければならなくなったりしないように、また、運営で問題がないように最初からしっかり作ったあとのことも考えて一般社団法人を設立したいですね。

一般社団法人設立の相談ご予約は、お電話・メールにて承っております。

お電話でのご相談予約
メールでのご相談予約やご質問

下のメールフォームからのお問い合せは24時間受け付けております。
48時間以内に、担当行政書士からご回答いたします。

    お名前 (必須)

    メールアドレス (必須)

    電話番号


    ※メール不達の際にお電話いたします。できるだけご入力ください。

    お問い合わせの概要

    ※複数回答可

    上記に当てはまらないお問い合わせは下記にご記入下さい。

    お問い合わせの具体的内容 (必須)

    ページトップへ戻る