この数年、一般社団法人◯◯協会という物を目にする機会が増えていませんでしょうか?
関連する書籍も出ていますし、実際かなり増えている印象ですが、一方で誤解がある部分もありますので、実際に協会の設立に200以上関わってきた専門家の視点から「協会ビジネス」について見ていきたいと思います。
協会ビジネスとは
そもそも協会ビジネスとは何でしょうか?
一般的に想起されるものはいわゆる先生ビジネスではないかと思います。
この図のように、初級や中級の上に、いわゆるインストラクターや先生になれるための講座もあり、それに合格すると、初級や中級の人たちを教えられるようになるというビジネスモデルですね。
例えば、僕がオリジナルな技法を用いた新しいマッサージの方法を編み出して、自分で施術を行うだけでなく、生徒さんを募り教室を開いたとします。非常にそれが好評で生徒さんがどんどん増えていっても、このビジネスだとすぐに限界が来ます。体は一つしかないし、十分に自分の技術を伝えるにはあまり多くの生徒さんを教えるのは現実的でないからです。
しかし、その生徒さんたちの中で、自分と同じように技術を持っただけでなく、教える事もできるようになったらどうでしょうか?
いわば自分の分身が増え、その技術は一気に広まる可能性が出ますし、生徒さんの数もどんどん増えて行きますよね。それについてフランチャイズフィーなどが発生していけば売上もどんどん増えていく可能性があるわけです。
簡単に言うとこれが一般的に言うところの協会ビジネスです。
協会ビジネスはそれだけでない
しかし、協会ビジネスというのはこのモデルだけではありません。確かにこうした先生ビジネスと言われるものも多いですが、その内容によってより細かくわけられます。協会ビジネスは一つではないのです。勝手に自分がこれまでお手伝いさせていただいたお客様をグルーピングして勝手に名付けてご紹介させていただきます。
趣味共感型モデル
日本唐揚協会という協会を聞いたことはあるでしょうか?この協会はカラアゲニストという特に先生やインストラクターを置くわけではありません。唐揚げについて見識深く、その美味しさを多くの人々に伝えることの出来る人物の証として唐揚げ検定を行い、合格すればカラアゲニストとなれますが、だからといって自分で口座を開けるようになるわけでもありません。
ですがなんとこの記事執筆時で、既に日本唐揚協会の会員は5万人を突破しているわけです。
それだけのファンがいるということは、スポンサーや協賛もつきます。イベントの収益費だって当然入ります。先生やインストラクターが講座を開かなくても、十分に収益があるわけです。
業界団体モデル
日本サッカー協会や相撲協会など業界団体と言われるような組織も協会という名称を使用しています。会員からの会費を取っていますが、これもインストラクターや先生を作っていくモデルとはいえないでしょう。
例えばこの協会に入っていないと不利益になるような、強制加入団体のようなモデルはこの分類になると思います。
社会起業型モデル
地域創生的な活動や公益性の高い事業を協会を作って行う団体がこれに当たります。この場合も特に先生やインストラクターを育成して、フランチャイズ的に運営していくというわけではなくて、市区町村や都道府県などと協調し、場合によっては補助金を得ながら事業を行っていくモデルになります。
「日本の海岸でビーチスポーツの楽しさを広めたい」という一般社団法人トータルビーチスポーツは、各種のビーチスポーツのプロ選手が集まり、日本の砂浜をビーチスポーツで活性化されていますが、年々砂浜を訪れる方が減っている観光地の市区町村などと連携し、協賛を得たりしながらイベントを開催されている他、補助金も活用されています。
まとめ
ざっと思いつくところでも複数の分類のビジネスモデルが協会という名称の中でもありますし、いわゆる先生やインストラクターを増やしていくモデルでも認定講座を行うのか、検定試験なのかなど運営方法も様々です。上記のハイブリッド型といいますか、メリットを混ぜ合わせたようなビジネスモデルのところもあります。
また、私も勉強させていただいていますが、一般社団法人日本経営心理士協会のように、経営と心理学や脳科学を融合させたオリジナルのメソッドを作り出し士業や経営者、営業マンなどに広めていくようなものから、ビーズやお花など趣味的なものを対象にしているものもあります。
つまり、協会ビジネスと言ってもやり方も違えばビジネスの収益構造も違うので、一括りにできるものではないということです。
とはいえ、マイクロビジネスともいえるリスク少なく始められる起業の一形態ではあると思いますし、起業にはいろいろな形があっていいと思いますので、自分にあった起業の一つの選択肢として知っていただければと思います。