この記事はNPO法人や一般社団法人の設立、ソーシャルビジネスの立ち上げに関心の高い人向けの記事です。
ソーシャルビジネスの母体となる法人格といえば、NPO法人が一般的ですが、近年一般社団法人を選択する社会起業家も増えています。
その中でも、意外に知られていない「非営利型一般社団法人」についての情報提供です。
非営利型一般社団法人とは?
非営利型一般社団法人とは、剰余金の分配を行わないことを定款に定めていることなど、一定の条件を満たした一般社団法人のことです。
非営利型一般社団法人になると、次のようなメリットがあります。
非営利型一般社団法人になると?
非営利型一般社団法人になると、税法上、NPO法人同様、「公益法人等」として取り扱われ、税法上の収益事業から生じた所得のみが課税対象となります。
言い方を変えると、税法上の収益事業以外からの所得は非課税になる、つまり税法で定められている34種類の収益事業に該当しない事業で得た所得や対価性のない会費、寄付などは、原則として非課税になります。
たとえばですが、学童保育や就労継続支援事業所などは、税法上の収益事業に当たらないと判断されている例もありますので、株式会社や非営利型でない一般社団法人で運営すると所得が課税対象になるのに対し、非営利型一般社団法人やNPO法人であれば課税対象にならない可能性があります。
(あくまでも一般的な例です。最終的な判断は税務署が行います。詳しくは税理士にご相談を)
NPO法人と同等の扱いになるにも関わらず、NPO法人のように活動内容が特定非営利活動に限定されませんし、都道府県(政令指定都市の場合、市)の監督を受けず、制約が少ないことがメリットとして挙げられます。
非営利型一般社団法人となるには?
次の要件を満たせば、非営利型一般社団法人として登記ができます。
非営利徹底型一般社団法人
- 剰余金の分配を行わないこと
- 解散した時は、残余財産を国や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること
- 上記1・2の定款の定めに反する行為や特定の個人または団体に特別の利益を与える行為を決定し、または行ったことがないこと
- 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下であること
共益的活動目的法人
- 会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること
- 定款等に会費の定めがあること
- 主たる事業として収益事業を行っていないこと
- 定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと
- 解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定めていないこと
- 特定の個人又は団体に特別の利益を与えたことがないこと
- 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること
どうやったら非営利型一般社団法人かどうかわかるの?
普通の一般社団法人も非営利型一般社団法人も、パッと見は同じ一般社団法人です。
定款を見て、上記要件が反映されているかでしか判断できません。
非営利型一般社団法人のまとめ
NPO法人と同じ税制上の条件にありながら、制約が少ないということで、非営利型一般社団法人を選択する方が増えています。
さらに、NPO法人のみが対象であることが多かった非営利団体の支援プログラムも、少しずつ一般社団法人も対象になりつつあります。
最たるものがGoogleが行っている広告助成、Google Ad Grantsです。
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(というかするべきでない)
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