ここ数年、起業の形態も多様化してきています。
これまでは個人事業か株式会社かという比較が多かったのですが、NPO法人や一般社団法人などのいわゆる非営利法人での起業も非常に増えてきています。
平成 27 年 | 平成 26 年 | 平成 25 年 | 平成 24 年 | 平成 23 年 | ||
一般社団法人 | 総数 | 30,978 | 30,565 | 38,517 | 31,375 | 24,452 |
設立数 | 5,574 | 6,226 | 9,429 | 7,285 | 4,010 | |
一般財団法人 | 総数 | 15,886 | 17,716 | 24,637 | 21,332 | 18,004 |
設立数 | 344 | 1,553 | 3,940 | 3,172 | 1,616 | |
株式会社 | 総数 | 961,054 | 888,435 | 886,088 | 891,176 | 908,217 |
設立数 | 88,803 | 86,639 | 81,889 | 80,862 | 80,244 |
(法務省統計より一部抜粋:http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001181704)
特にいわゆるコンテンツホルダー、つまり、独自の技術や強み、知識を持った方々が、セミナーや各種教室などを運営されているケースが増えていますが、それに伴って「協会ビジネス」も増えています。
使ってはいけない名称がある?
協会ビジネスの多くは一般社団法人や一般財団法人が多く、逆に株式会社やNPO法人では稀だと感じています。
私はこれまで200を超える協会ビジネスのお手伝いをさせていただいてきましたが、そのうちの9割は一般社団法人で運営されています。
一番多い名称(法律的には商号といいます)は「一般社団法人◯◯◯◯協会」ですが、他にも「協議会」、「連盟」、「機構」など様々なです。
基本的には自由にこうした商号を使用することができますが、法律的に認められない場合もありますので注意が必要です。
商号に使用できない文字
【商号に使用できる文字】
- 漢字
- ひらがな
- カタカナ
- ローマ字〔大文字(A、B、C、・・・)及び小文字(a、b、c、・・・)〕
- アラビア数字〔1、2、3、・・・〕
【商号に使用できる符号】
- 「&」 (アンパサンド)
- 「 ’」 (アポストロフィ)
- 「 ,」 (コンマ)
- 「-」 (ハイフン)
- 「 .」 (ピリオド)
- 「 ・ 」 (中点)
逆に言いますと、これ以外の文字や記号は使用できないことになります。「Ⅱ」などのローマ数字や「_」という記号も使用できません。
誤認するような言葉も使用不可
私は一般社団法人行政書士の学校という社団を運営していますが、この「学校」という言葉も常に使用が可能というわけではありません。
同様に「一般社団法人◯◯大学」も使えない場合があります。これらの「学校」や「大学」という言葉は、いわゆる学校法人などとの誤認起こす可能性があると判断される場合があります。
実際に◯◯大学で片方は問題なく通ったのに、もう一方では法務局から認められなかったというケースもありました。
また、「銀行」や「病院」、「法律事務所」など、法律で使用が制限されている場合もあるので注意が必要です。
他と同一の商号を使用していないか
同一の住所で同一の名称を使用することはできません。ですが、そういった場合は非常に稀ですので登記自体は可能であることが多いです。
しかし、すでに他の一般社団法人が使用している商号と同一の商号を用いると、その商号について使用差止請求を受ける可能性はあります。また、商標を他の方が既に取得している場合には、商標権の侵害にあたってしまいます。
まとめ
一般社団法人だけでなく株式会社やNPO法人でも同様に、使用できる商号には制限があります。
起業をするのに思い入れのある言葉を使用したい場合が多いと思いますが、そもそも登記できないとか、登記できたはいいけれどあとでトラブルになってしまってはスタートから躓いてしまうことになりかねません。
設立に関する雛形や無料のツールもインターネット上には多くありますが、こうした注意点がフォローされていないものも多いので、機になる方はまずは専門家へ相談されることをおすすめいたします。